Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
さくらじま
桜島・日の果て・幻化
梅崎 春生
Lesen Sie 桜島・日の果て・幻化 (さくらじま) von 梅崎 春生 (うめざきはるお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 169.810 Zeichen · 345 Bildschirme
指揮官卓に集って、低い声で話し合った。
俄かに電報量が多くなった。作戦特別緊急電報ばかりである。報告や通報や、各部隊に対する命令電波が、日本中に錯綜しているらしかった。船団は明かに東京方面を目指していた。千葉海岸あたりに殺到し、一挙に東京を攻略するのではないか。それはあり得ないことではなかった。
(東京都民は、今頃何も知らずに眠っているだろう)
応召するまで私が住んでいた本郷のことや、また友達のことが、突然のようにはっきり頭に浮んで来た。それは戦争とは関係のない静かな街であり、平和な人々の姿であった。私が自分に落ちるものと覚悟していた悪運が、今や彼等の上に置き換えられようとしている。此の、死の巨大な凶報も心付かずして、寝床の中に穏かな顔をして眠っているのではないか。一つの或る想念が、私の心を烈しい苦痛を伴って突き刺した。
(もし東京に上陸するならば、桜島にいる私はたすかるのではないか?)
うめくような気持で、私は此の考えを辿っていた。――
私の背後の指揮官卓での話し声が少しずつ高くなって来た。ときどき、笑い声がまじった。緊張のなかに、へんに自棄っぱちな気持がこじれたままふくれ上り、冗談を言い合う声が奇妙にうわずって来るらしかった。