Japanische Klassiker mit Furigana
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さくらじま
桜島・日の果て・幻化
梅崎 春生
Lesen Sie 桜島・日の果て・幻化 (さくらじま) von 梅崎 春生 (うめざきはるお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 169.810 Zeichen · 345 Bildschirme
私は、無視されたような気がして面白くなかった。その男はもう相当飲んだと見えて真赤な顔をしている。娘が死んだって死ななくったって殊勝に勉強する柄じゃないように見えた。襟章を見ると文科だけれど、私は学校に出ないから、どこの科の男かわからない。
私は天願氏の脚をこづいて、部屋の中央にすわっている中年の婦人をあごで指して聞いた。
「あれは誰ですか?」
「あれ」と天願氏はもう赤くなっている。上体をふらふらとさせた。矢張り自棄に似た気持でどんどん飲んだのだろう。
「親類の人だろう」
「不思議な人ですね」と私が言ったら、うんと言ってまた盃をあけた。
おばさんは、体をあっちに向けたりこっちにむけたり、大きな徳利をふり廻すようにして皆に注いで廻っている。酒をこぼしたりすると、あらあらと言って、その声が若やいでいるのが何だか奇妙に気になった。今までその影になって見えなかったが、唐紙のところに、びっくりする程大きな徳利がもう七八本も並んでいた。一体あんな不思議な徳利をどこで買いそろえたのだろう。麦酒びん位の大きさがある。おばさんがそれを持って畳を動いているのを見ると、酔っているせいか知らないが蟹がはっているように見えた。