Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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さくらじま

桜島・日の果て・幻化

梅崎 春生

Lesen Sie 桜島・日の果て・幻化 (さくらじま) von 梅崎 春生 (うめざきはるお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 169.810 Zeichen · 345 Bildschirme

Aozora Bunko

美しく、死んで行きたいのか」

言い終ると、身の毛もすくむような不快な声でわらい出した。じっと堪えながら、私は谷中尉のことを思っていた。あの若い元気な中尉も、美しく死にたいという考えは、感傷に過ぎぬと話して聞かせた。しかしそれが何であろう。虚無が、谷中尉にしろ吉良兵曹長にしろ、その胸に深い傷をえぐっているに過ぎぬ。私がもつ美しく死にたいというひそやかな希願と、何の関係があるか。

不思議な悲哀感が、私を襲った。私は、再び吉良兵曹長の方は見ず、虚ろな眼ざしを卓の上に投げていた。騒ぎはますます激しくなって行くようであった。昏迷しそうになる意識に鞭打ち、私は更に麦酒を口の中にそそぎ込んだ。かねてから私を悩ます、ともすれば頭をもたげようとするのを無意識のうちに踏みつぶし踏みつぶして来たあるものが、俄かにはっきりと頭の中で形を取って来るらしかった。私は、何の為に生きて来たのだろう。何の為に? ――

私とは、何だろう。生れて三十年間、言わば私は、私というものを知ろうとして生きて来た。ある時は、自分を凡俗より高いものに自惚れて見たり、ある時は取るに足らぬものと卑しめてみたり、その間に起伏する悲喜を生活として来た。