Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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さくらじま

桜島・日の果て・幻化

梅崎 春生

Lesen Sie 桜島・日の果て・幻化 (さくらじま) von 梅崎 春生 (うめざきはるお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 169.810 Zeichen · 345 Bildschirme

Aozora Bunko

道は尽き、林に入った。見張台に行く方向である。あの健康な展望が、私の心をまぎらして呉れるかも知れない。私は、空を仰いだ。入り組んだ梢を通す斑の光線が、私の顔に当った。

ふと、聞き耳を立てた。降るような蝉の鳴声にまじって、微かに爆音に似た音が耳朶を打った。林のわきに走り出て、空を仰いだ。しんしんと深碧の光をたたえた大空の一角から、空気を切る、金属性の鋭い音が落ちて来る。黒い点が見えた。見る見る中に大きくなり、飛行機の形となり、まっしぐらに此の方向に翔って来るらしかった。危険の予感が、私の心をかすめた。此処を、ねらって来るのではないか。林の中に走り入り、息をはずませながら、なお走った。恐怖をそそるようないやな爆音が、加速度的に近づき、私の耳朶の中でふくれ上る。汗を流しながら、なお林の奥に駆け入ろうとした時、もはや爆音の烈しさで真上まで来ていたらしい飛行機から、突然足もすくむような激烈な音を立てて、機銃が打ち出された。思わずそこに打ちたおれ、手足を地面に伏せたとたん、飛行機の黒い大きい影が疾風のように地面をかすめ去った。

地面に頬をつけたまま、私は眼を堅くつむっていた。