Japanische Klassiker mit Furigana
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さくらじま
桜島・日の果て・幻化
梅崎 春生
Lesen Sie 桜島・日の果て・幻化 (さくらじま) von 梅崎 春生 (うめざきはるお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 169.810 Zeichen · 345 Bildschirme
灰を吹き散らしたような雨が、そこにも落ちていた。廃墟の果てるところに海があった。海の彼方に、薄茶色に煙りながら、桜島岳が荒涼としてそそり立った。あの麓に行くのだと思った。皆、黙ってあるいた。衣嚢が肩に重かった。
波止場で船を待っているうちに、空が漸く明り出した。雲が千切れながら、青い空を見せ始めた。船を待つ人は皆、痴呆に似た表情をし、あまり口を利かなかった。切符売場の女の子達は、ふかした馬鈴薯を食べていた。それが変に私の食欲をそそった。私はそれから眼を外らし、衣嚢に腰を掛け、無表情な群衆を眺めていた。昨夜の女のことを考えていたのだ。昨夜の情緒が、妙に執拗に私の身体に尾を引いているように思われた。何か甘いその感じが、逆に作用して、波止場にいる無感動な人々の表情に対する嫌悪をそそった。
(馬みたいに表情を失っている)
私は激しく舌打ちをした。兵隊たちは、女の子から馬鈴薯をわけて貰い、私の眼をはばかるようにしてそれを食べていた。じりじりするような時間が過ぎた。やがて白い波頭を立てながら、船が来た。私達は乗った。濁った水をわけながら、船は動き出した。
やがて着いた対岸の砂浜に板をおろし、ひとりひとり渡って飛び下りた。