Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

もりのえ

森の絵

寺田 寅彦

Lesen Sie 森の絵 (もりのえ) von 寺田 寅彦 (てらだとらひこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 1.921 Zeichen · 4 Bildschirme

Aozora Bunko

その外にまだなんだか胸に響くような鋭い喜びと悲しみの念が湧いて来る。

二十年前の我家のすぐ隣りは叔父の屋敷、従兄の信さんの宅であった。裏畑の竹藪の中の小径から我家と往来が出来て、垣の向うから熟柿が覗けばこちらから烏瓜が笑う。藪の中に一本大きな赤椿があって、鵯の渡る頃は、落ち散る花を笹の枝に貫いて戦遊びの陣屋を飾った。木の空にはごを仕掛けて鵯を捕った事もある。

叔父の家は富んで、奥座敷などは二十畳もあったろう。美しい毛氈がいつでも敷いてあって、欄間に木彫の竜の眼が光っていた。

いつか信さんの部屋へ遊びに行った時、見馴れぬ絵の額がかかっていた。何だと聞いたら油画だと云った。その頃田舎では石版刷の油画は珍しかったので、西洋画と云えば学校の臨画帖より外には見たことのない眼に始めてこの油画を見た時の愉快な感じは忘られぬ。画はやはり田舎の風景で、ゆるやかな流れの岸に水車小屋があって柳のような木の下に白い頭巾をかぶった女が家鴨に餌でもやっている。何処で買ったかと聞いたら、町の新店にこんな絵や、もっと大きな美しいのが沢山に来ている、ナポレオンの戦争の絵があって、それも欲しかったと云う。