Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
もみノきはのこった
樅ノ木は残った
山本 周五郎
Lesen Sie 樅ノ木は残った (もみノきはのこった) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 112.073 Zeichen · 223 Bildschirme
と評されているくらいだから、甲斐に対する雅楽頭の態度を、そのままみのがしていることができなくなった。彼は雅楽頭の話しがひと区切りついたとき、ふと甲斐に向かって呼びかけた。
「いつぞや胡桃味噌というものをよこされたと思うが、そこもとからでしたな」
「さようでございます」と甲斐は答えた、「国もとの農家などで致しますのを、いかがかと存じてお笑い草にさしあげました」
「いつでもありますか」
「さあそれが」と甲斐は苦笑した。
元来が農家の炉端のもので、多く冬に作られるが、自分は大量に製して産物にしようと試みた。さしあげたのはそれで、評判がよければ江戸で売り広めようと思ったのであるが、混ぜものをした味噌は貯蔵がきかず、味が変るので商品にはなりにくい、結局は失敗してしまった、ということをかいつまんで話した。
大和守は笑って、こなたにそういう道楽があるとは思いがけないことだ、と云った。いや、道楽どころではない、家政が苦しいので、そんなへたな才覚もしなければならないのだ、と甲斐は答えた。
そのとき、じっと甲斐のようすを眺めていた雅楽頭が、よくとおる韻の深い声で呼びかけた。