Japanische Klassiker mit Furigana
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もみノきはのこった
樅ノ木は残った
山本 周五郎
Lesen Sie 樅ノ木は残った (もみノきはのこった) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 148.519 Zeichen · 296 Bildschirme
新八は云った、「仙台へ送られる途中で逃げたんです、捉まったら命はないでしょうから、これで失礼します」
「お待ちなさいよ、それであなた、どこへいらっしゃるの」
「私は、私はこれから」
「たよってゆく知合いがおありになるの」
「わかりませんけれど」と新八はあいまいに云った、「でも、たぶん、大丈夫だろうと思うんです」
「歩きましょう」
おみやは歩きだした。新八もそれに続いた。おみやは云った。
「あたしの旦那も、あなたのお兄さんと同じようなめにあったから、事情はおよそわかります。だからうかがうんだけれど、めったなところへいらっしゃると、それこそ自分から罠へはまるようなことになりますよ」
「それは考えているんです」
「それで、本当に大丈夫なんですか」
「わかりません、でも、いちど助けてもらったし、立派な人だということは、みんなが云っていますから」
「では御家中の方ね」
「ええ、評定役の原田さんです」と新八は云った。
「それはだめ、それはいけないわ」とおみやが云った、「あたしも原田さまの評判は聞いているわ、評判ではずいぶんいい方らしいけれど、あたしの旦那は似而非者だって云ってたことよ、あれは心の底の知れない人間だ、なにも知らないような顔をして、心のなかでどんな悪企みをしているかわからないやつだって」