Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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もみノきはのこった

樅ノ木は残った

山本 周五郎

Lesen Sie 樅ノ木は残った (もみノきはのこった) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 148.519 Zeichen · 296 Bildschirme

Aozora Bunko

おみやは奥へはいった。奥には茶釜や器物の棚や、水瓶などの置いてある土間の片方に、三帖ばかりの小部屋があり、茶釜からは湯気が立っていた。

「いま火を取るからね」

「あたしすぐに帰りますわ」

おみやはその小部屋の、あがり框に腰をかけ、持っていた包みを解いた。

「まあいいやね、この時間に帰ると近所がうるさいんでしょ、いまお茶を淹れるよ」

女は釜戸から、焚きおとしを十能に取り、小部屋の火桶に入れて、炭をついだ。おみやは包みの中から、なにがしかの金を出し、紙に包んで、女の前へさしだした。

「おばさん、これ、いつもの」

「あらそう、済まないね」

女はすぐに取って袂へ入れ、十能を持って茶釜のほうへ戻った。

「頭巾はぬがないほうがいいよ、今朝はめっぽう冷えるからね」

「もう十一月ですものね」

「十一月だよ、本当に、そうするとおみやさんは、浄妙院へはもう幾月になるかしら」

「八月からですから」

「四つきだね、へえ」と女は茶を淹れながら云った、「うっかりしてたけれど、四つきも続くなんて、おまえさんが初めてだよ」

「あらそう」

「あの和尚さんときたら、はいお茶」

女はこっちへ来て、茶碗をのせた盆を置き、おみやにすすめながら、自分も取った。