Japanische Klassiker mit Furigana
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もみノきはのこった
樅ノ木は残った
山本 周五郎
Lesen Sie 樅ノ木は残った (もみノきはのこった) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 148.519 Zeichen · 296 Bildschirme
「わからない」と甲斐は首を振った、「ただ推察されることは、一ノ関が吉岡を怒らせて、松山とのあいだに紛争を起こさせるだろう、ということだ」
「率直な意見を云ってくれ」と周防が云った、「私はどうしたらいい、歪曲された無根の罪状を、黙って甘受すべきなのか」
「いかに歪曲し牽強付会しても、無根の事実で人間を罰するわけにはいかない、たって係争すれば黒白は明白になる、しかし、それは一ノ関の思うつぼだ、国老間に紛争が起これば、一ノ関は後見として、幕府老中の裁決を乞うだろう、そうは思わないか」
周防は眼を伏せた。
「いつか松山の家で、涌谷さまと三人で話した」と甲斐はつづけた、「一ノ関には、伊達六十万石を分割し、その半ばを取ろうという野心がある、うしろ盾は酒井雅楽頭、――家中紛争をもちだせば、雅楽頭の手で必ず老中にとりあげられる、それだけはまちがいなしだ」
「そうだ、おそらく、それはたしかだろう」
「松山は辞職すべきだ」と甲斐は云った、「堀普請が終りしだい辞職するがいい」
「すれば吉岡が代るぞ」
「火は燃えきれば消える」
周防は暫く考えていて、やがて頷き、「但し条件がある」と云った。