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Japanische Klassiker mit Furigana

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はるはばしゃにのって

機械・春は馬車に乗って

横光 利一

Lesen Sie 機械・春は馬車に乗って (はるはばしゃにのって) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 77.492 Zeichen · 156 Bildschirme

Aozora Bunko

夜はそのままいたずらに更(ふ)けていくばかりだ。とうとう紳士淑女の怒りは爆発したが、怒ろうにも相手のシュールリアリストは一人も会場に来ていないのだから仕方がない。そのうちに瞞(だま)されたと知った一同は怒りの持って行き場もなく不平たらたらでそれぞれ帰っていった。ところが、次ぎの日の新聞には大きくその夜の発会式の写真が一斉に出ていたのだ。つまりそれが発会式なのだ。

梶はそこまで話して妻の顔を見た。

「それからどうしたの」と芳江は訊(たず)ねた。

「それだけさ」

「それがどういうことなの。世の中が無茶苦茶になったから、自分たちもそうしたっていうの」

「まアそれでも良い」と梶は云うより仕方がなかった。

梶は友人たちに逢(あ)う度(たび)にこの同じ話をしてみて相手の顔を眺(なが)めてみた。すると、皆黙って真剣な顔になった。中にはだんだん蒼(あお)くなるものと、しばらくしてから突然笑い出す者とあった。梶はヨーロッパを廻って来てこの話に一番興味を覚えたのだが、説明の出来る種類の話ではないから黙っていた。強(し)いて説明を附けようとすれば、ドストエフスキイの悪霊(あくりょう)の主人公であるところのスタブローギンのある行動の話を持ち出さねばなるまい。