Japanische Klassiker mit Furigana
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はるはばしゃにのって
機械・春は馬車に乗って
横光 利一
Lesen Sie 機械・春は馬車に乗って (はるはばしゃにのって) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 77.492 Zeichen · 156 Bildschirme
「そうだ、まあ、お前の看病をするためには、一族郎党を引きつれて来ておいて、金を百万円ほど積みあげて、それから、博士を十人ほどと、看護婦を百人ほどと」
「あたしは、そんなことなんかして貰いたかないの、あたし、あなた一人にして貰いたいの」
「つまり、俺が一人で、十人の博士の真似と、百人の看護婦と、百万円の頭取の真似をしろって云うんだね」
「あたし、そんなことなんか云ってやしない。あたし、あなたにじっと傍にいて貰えば安心出来るの」
「そら見ろ、だから、少々は俺の顔が顰(ゆが)んだり、文句を云ったりする位は我慢しろ」
「あたし、死んだら、あなたを怨(うら)んで怨んで怨んで、そして死ぬの」
「それ位のことなら、平気だね」
妻は黙って了った。しかし、妻はまだ何か彼に斬(き)りつけたくてならないように、黙って必死に頭を研(と)ぎ澄しているのを彼は感じた。
しかし彼は、彼女の病勢を進ます彼自身の仕事と生活のことを考えねばならなかった、だが、彼は妻の看病と睡眠の不足から、だんだんと疲れて来た。彼は疲れれば疲れるほど、彼の仕事が出来なくなるのは分っていた。彼の仕事が出来なければ出来ないほど、彼の生活が困り出すのも定(きま)っていた。