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Japanische Klassiker mit Furigana

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はるはばしゃにのって

機械・春は馬車に乗って

横光 利一

Lesen Sie 機械・春は馬車に乗って (はるはばしゃにのって) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 77.492 Zeichen · 156 Bildschirme

Aozora Bunko

あなたは不幸な方だわね」

「うむ」と彼は云った。

彼は妻を貰(もら)うまでの四五年に渡る彼女の家庭との長い争闘を考えた。それから妻と結婚してから、母と妻との間に挾(はさ)まれた二年間の苦痛な時間を考えた。彼は母が死に、妻と二人になると、急に妻が胸の病気で寝て了(しま)ったこの一年間の艱難(かんなん)を思い出した。

「なるほど、俺ももう洗濯がしたくなった」

「あたし、いま死んだってもういいわ。だけども、あたし、あなたにもっと恩を返してから死にたいの。この頃あたし、そればかり苦になって」

「俺に恩を返すって、どんなことをするんだね」

「そりゃ、あたし、あなたを大切にして、……」

「それから」

「もっといろいろすることがあるわ」

――しかし、もうこの女は助からない、と彼は思った。

「俺はそう云うことは、どうだっていいんだ。ただ俺は、そうだね。俺は、ただ、ドイツのミュンヘンあたりへいっぺん行って、それも、雨の降っている所でなくちゃ行く気がしない」

「あたしも行きたい」と妻は云うと、急に寝台の上で腹を波のようにうねらせた。

「お前は絶対安静だ」

「いや、いや、あたし、歩きたい。