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Japanische Klassiker mit Furigana

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はるはばしゃにのって

機械・春は馬車に乗って

横光 利一

Lesen Sie 機械・春は馬車に乗って (はるはばしゃにのって) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 77.492 Zeichen · 156 Bildschirme

Aozora Bunko

と定雄は云った。

「だって、もうすぐなんでしょう」と千枝子は婆さんに訊ねた。

「まだまだありますえ。安うお負けしときますがな。二十銭でいきますわ。どうせ帰りますのやで、一つ負わしておくんなはれ」

あくまで擦りよって歩いて来る婆さんに、千枝子も根負けがしたらしく、

「清ちゃん、どうする。おんぶして貰う?」と訊ねた。

「僕、歩く」と清は云って婆さんから身を放した。

こんなときには、長く一人児だった清はいつも母親の方の味方をするに定っていた。

「あなた坂本まで帰るんですの」と千枝子は婆さんに訊ねた。

「ええ、そうです。毎日通ってますのや」

「おんぶして貰う人ありまして、こんなとこ?」

「このごろはあんまりおへんどすな。毎日手ぶらどすえ」と婆さんは云ったが、もう清を負うのは断念したらしく、旅の道連れという顔つきで千枝子と暢気に並んで歩き出した。

定雄は傾きかかった気持ちもようやく均衡の取れて来るのを感じた。しかし、清は母と父とが自分のことで先から険悪になりかかっているのを感じているので、定雄が傍へ近づくとすぐ千枝子の身近へひっついて歩いた。定雄はこれから次ぎのケーブルまでこの婆さんがついて来るのだと思うと、気持ちを直してくれた婆さんであるにもかかわらず、先のいらだたしさがいつまた絡みついて来るか知れない不安さを感じたので、今度