Japanische Klassiker mit Furigana
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はるはばしゃにのって
機械・春は馬車に乗って
横光 利一
Lesen Sie 機械・春は馬車に乗って (はるはばしゃにのって) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 77.492 Zeichen · 156 Bildschirme
「そうではないか。俺はお前から離れたとしても、この庭をぐるぐる廻っているだけだ。俺はいつでも、お前の寝ている寝台から綱をつけられていて、その綱の画(えが)く円周の中で廻っているより仕方がない。これは憐(あわ)れな状態である以外の、何物でもないではないか」
「あなたは、あなたは、遊びたいからよ」と妻は口惜(くや)しそうに云った。
「お前は遊びたかないのかね」
「あなたは、他の女の方と遊びたいのよ」
「しかし、そう云うことを云い出して、もし、そうだったらどうするんだ」
そこで、妻が泣き出して了うのが例であった。彼は、はッとして、また逆に理論を極(きわ)めて物柔らかに解きほぐして行かねばならなかった。
「なるほど、俺は、朝から晩まで、お前の枕元にいなければならないと云うのはいやなのだ。それで俺は、一刻も早く、お前をよくしてやるために、こうしてぐるぐる同じ庭の中を廻っているのではないか。これには俺とて一通りのことじゃないさ」
「それはあなたのためだからよ。私のことを、一寸(ちょっと)もよく思ってして下さるんじゃないんだわ」
彼はここまで妻から肉迫されて来ると、当然彼女の檻の中の理論にとりひしがれた。