Japanische Klassiker mit Furigana
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はるはばしゃにのって
機械・春は馬車に乗って
横光 利一
Lesen Sie 機械・春は馬車に乗って (はるはばしゃにのって) von 横光 利一 (よこみつりいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 77.492 Zeichen · 156 Bildschirme
高次郎氏の師匠はさらにこの歌集の巻末に、加藤君はある夜役所の帰りに突然私の所へ来て、雑誌に出た自身の歌を全部清書したいからと云い、端座したまま夜更(よふけ)までかかって清書をし終えた。その後で酒を二人で飲んで帰途についたが、翌日加藤君の危篤の報に接し、次の日に亡くなった。人生朝露のごとしといえあまりのことに自分は自失しそうだと書いてあった。
してみると、高次郎氏が電車に飛ばされたのは、自分の歌集を清書し終えたその夜の帰途にちがいないと私は思った。私には高次郎氏の死はもう他人の事ではなく、身に火を放たれたような新しい衝撃を感じた。一度は誰にも来る終末の世界に臨んだ一つの態度として、端座して筆を握り自作を清書している高次郎氏の姿は、も早や文人の最も本懐とするものに似て見え、はッと一剣を浴びた思いで私はこの剣客の去りゆく姿を今は眺めるばかりだった。
高次郎氏が亡くなってからやがて一周忌が来る。先日家内は私の家の兎を食い殺した加藤家の猫が、老窶(おいやつ)れた汚(きたな)い手でうろうろ食をあさり歩いている姿を見たと話した。私は折あらば一度その猫も見たいと思っている。