Japanische Klassiker mit Furigana
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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
Lesen Sie 次郎物語 (じろうものがたり) von 下村 湖人 (しもむらこじん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 117.781 Zeichen · 235 Bildschirme
」
「わかっていますよ。」
と、仙吉は相変らず、そっぽを向いて、
「しかし、それじゃあ、旦那があんまりお気の毒じゃありませんか。肥田さんの尻ぬぐいも、もう沢山だと私は思いますがね。」
「じゃあ、この預証は、お店には関係がないというわけですね。」
「そうじゃありません。そりゃこちらの店の判が捺してある以上、知らないとは言いませんよ。それだからこそ、旦那もこれまで苦しいのを我慢して、泥棒に追銭みたいなことをして来たんじゃありませんか。しかし、正直のところ、あんたの方でもそうとことんまで搾りあげなくったってよさそうに思いますよ。あたりまえにお金をいただいての預証と、肥田さんの遊興費とは、だい一わけがちがいますし、それにこちらの事情もまるでおわかりにならんことはないでしょうからね。」
仙吉は次第に雄弁になって来た。彼は、もうとうに店には見切りをつけているらしかったが、俊亮の人柄には心から敬服して居り、そのために、強いては暇ももらわず、これまで何かと心をつかって、店のやりくりをして来ただけあって、こうした場合、おとなしくばかりはしていなかったのである。
しかし、相手の女は、仙吉などにやりこめられるほど、なまやさしい女ではないらしかった。