Japanische Klassiker mit Furigana
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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
Lesen Sie 次郎物語 (じろうものがたり) von 下村 湖人 (しもむらこじん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 117.781 Zeichen · 235 Bildschirme
「一昨日、母さんがどこに行ったのか、知っている?」
と、急に起きあがって、僕のそばによって来た。僕が、知らない、と答えると、俊三はいかにも大きな秘密でもうちあけるように、
「大巻のお祖父さんとこさ。お祖母さんに言いつかって行ったんだよ。」
僕は一昨日のことが何もかもわかったような気がして、祖母のことを話すのがいやになった。僕は、だから、
「お祖母さんはかわいそうな人だよ。」
とだけ言って、じっとうきを見つめていた。俊三も、すると、それっきり何とも言わなかった。
祖母は、父には秘密で、母を利用して大巻に何か無心を言わせている。母は、言われるままにそれに従っているのだ。きっと、大巻には、それが祖母の意志であることも、言うのを禁じられているだろう。母はそれにも従っているのかも知れない。――僕は、そんなことを考えてうきを見つめていたが、今度は、そんなことを考える自分がいやになって来た。そして、うきももう動かなくなったので、すぐ帰り支度をした。
帰りがけに、ふと、いつも朝倉先生が、「自分をごまかすのが一番いけないことだ」と言われていたことを思い出した。さっき、祖母をかわいそうだと言ったのが、胸にひっかかっていたからだろう。