Japanische Klassiker mit Furigana
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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
Lesen Sie 次郎物語 (じろうものがたり) von 下村 湖人 (しもむらこじん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 117.781 Zeichen · 235 Bildschirme
――求むる心は水の流れと何様、その流れが急であればあるほど、障碍にぶつかって激するものだが、このことは、幼い子供をもつ母親にとって忘れられてはならないことなのである。それは、幼い子供が何よりも烈しく求めるものは母の愛だからである。次郎の母が、次郎が十一歳になるまで、このことに気がつかなかったということは、次郎にとっても、母自身にとっても、何という不幸なことであったろう。しかし、回時に、その不幸が次郎の求むる心を打ちひしぐほどのものでなかったということは、彼の生命の健全さにとって、何という仕合わせなことであったろう。
次郎が、ついに母の至純な愛をかち得たときの喜びは、それが久しく拒まれていたものだっただけに、限りなく大きいものであった。この時の彼の喜びこそ、彼を「永遠」への門に近づける第一歩だったとも言えるであろう。彼の愛を求むる心の態度は、それを一転機として飛躍的に深まっていった。彼は、それ以来、もう完全に一箇の自然児ではなくなったのである。そして、間もなく、母の死という悲しい運命によって、無限に尊いその愛が失われた時でさえも、彼は、その死を乗りこえて母の愛を信ずることが出来たのである。