Japanische Klassiker mit Furigana
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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
Lesen Sie 次郎物語 (じろうものがたり) von 下村 湖人 (しもむらこじん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 117.781 Zeichen · 235 Bildschirme
「だけど――」
と、奥さんは、にっこりして、
「意味はわからなくても、いい気持のする文句でしょう?」
次郎は、ふと、自分の生れ故郷の、あの沢辺の晴れた秋景色を想像した。そこには芦が密生していて、銀色の穂波がまばゆいように陽に光っている。一羽の真白な鳥が、ふわりと青空を舞いおりて、その穂波に姿をかくした光景は、何ともいえない美しさだった。
「どう? 次郎さんは何とも感じません?」
「美しいと思います。」
「美しいというよりか、すがすがしいといった方がぴったりしなくって?」
「ええ。」
次郎は、彼がこれまでに接したいかなる女性にも――亡くなった母にさえも――見出せなかったものが、この奥さんの言葉の中からしみ出て来るのを感じた。
「先生はね、――」
と、奥さんは、今度は掛軸の方に眼をやりながら、
「良寛のあの歌にある“まこと”というのは、この額の文句と同じような気持だろうって、よくそう仰しゃっていますの。」
次郎には、しかし、その二つがどんな点で結びつくのか、まるでわからなかった。彼は、けげんそうな眼をして奥さんの顔を見ながら、
「すると、白鳥芦花に入るっていうのは、誠という意味ですか。