Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
ぶけわらじ
武家草鞋
山本 周五郎
Lesen Sie 武家草鞋 (ぶけわらじ) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 17.835 Zeichen · 35 Bildschirme
「そうすると、つまり」伝三郎はからだが震えてきた、「……丈夫だという評判がついたから、これからは弱い草鞋を作れというのだな」
「そう仰しゃると言葉に角が立ちますが、なにしろこれも商売でございまして」
次に作る分の材料がそこに出してあった、然し伝三郎は黙って手間賃だけ受取ると、その材料には手も触れず、手代の言葉を中途に聞きながして柏屋の店を出てしまった。「商売、僅かな利、儲け、弱い草鞋」
そんな言葉がきれぎれに頭のなかを飛びまわった。汚れたもの、卑賤なものとして、かれが居たたまらず逃げだして来た「世間」がここにもあった。丈夫なうえにも丈夫であるべき品を、儲けるために弱く作れという。
「なんという世の中だ」伝三郎は思わず声をあげた、「なんという見下げはてた世の中だ、あの手代の耻を知らぬ顔はどうだ、ああ息が詰る」
ぶるぶると身を震わしながら逃げるような足どりで歩いて来たかれは町の左がわに「酒」と書いた油障子をみつけて、矢も盾も堪らずその店の中へはいっていった。
野部の家へかれが帰ったのはもう昏れがたのことだった。案じていたのだろう、いねが丘の登り口のところに立っていて、かれをみつけると駆け寄って来た。