Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ぶけわらじ

武家草鞋

山本 周五郎

Lesen Sie 武家草鞋 (ぶけわらじ) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 17.835 Zeichen · 35 Bildschirme

Aozora Bunko

こういう気風は商人に限りません、世間ぜんたいが欺瞞と狡猾との組み合せです、こんなことでいいのでしょうか」伝三郎はぶるぶると震えた、「……これで世の中がなりたってゆくでしょうか、こんなに堕落しながら恬として恥じない、寧ろみんな当然のような顔をしている、本当にこんなことでよいのでしょうか、こんな乱離たることで」

老人は袴の膝へ両手を置き、なかば閉じた眼で壁のあたりを眺めながら黙って聴いていた。戸沢家を退身して以来の身の上のそこまで語ってきて、伝三郎は回想することのやりきれなさに参ったらしい、「……そこでわたくしは江戸を逃げだしました」と云うと、暫く忿りを鎮めるようにむっと口を噤んだ。

「……しかし何処へいっても同じことでした、どうかして生きる道を捉もうと、ちからのあるだけはやってみたのですが、結局はこちらの敗北です、わたくしはほとほと疲れました、もうたくさんだという気持です、これ以上は自分もそういう仲間にはいるか、それとも生きることをやめるか、二つのうち一つを選ぶより仕方がない、そしてわたくしは後者を選んだのです、こんな俗悪な世間に生きるよりは、寧ろ人間の匂いのない深山へはいって死のう、そう決心を致しました、そして残っている貯えのあるうちは安宿に泊り、無くなってからは野宿をしながら、殆んど水を飲み飲みここまで