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Japanische Klassiker mit Furigana

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ぶしゅうこうひわ

武州公秘話

谷崎 潤一郎

Lesen Sie 武州公秘話 (ぶしゅうこうひわ) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 107.572 Zeichen · 209 Bildschirme

Aozora Bunko

松雪院や腰元共は、彼の記憶の確かなことゝ、思いの外話上手であることに先ず驚かされ、次には自分たちがその場にあるような心持に引き入れられて、知らず識らず手に汗を握り、固唾を呑み、体じゅうを硬張らせつゝ異様にかゞやきを増して来る彼の瞳の中へ吸い込まれたようになっていると、

「いや、話したゞけではそなた達には分るまいがね、………」

と、そう云いながら河内介は、しーんとした、無気味な部屋の中を、―――燈火の光のとゞかない暗い四隅を、―――探るように見廻し始めた。その時女中共が変にぎょッとしたと云うのは、今の言葉は正しく河内介の口から出たのだが、その声音と調子とが急に今迄と違って来て何か特別なものが加わっていたように思えたのである。そればかりでなく、痙攣的な、ピクピクと顫えるような、意味の分らない微笑が彼の面上に押し出されて、顔の色が一旦蒼白に変り、やがて見る間に、かあッと上気したように赧くなった。

「………やっぱり何だな、首装束は実地に就いて稽古をしてみるとよく分るんだが、それにはほんとうの首がないといかんな」

「ほんとうの首?」

と、松雪院が怯えたような声を出した。