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Japanische Klassiker mit Furigana

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ぶしゅうこうひわ

武州公秘話

谷崎 潤一郎

Lesen Sie 武州公秘話 (ぶしゅうこうひわ) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 107.572 Zeichen · 209 Bildschirme

Aozora Bunko

「そなた、首を見るのが恐いか」

「いゝえ、………でも、そんなものを何処から持って参りますの?」

「はッ、はッ、はッ、そなたも武士の妻ではないか、首と聞いて顔色を変えるようでは頼もしゅうない」

彼女は実は、首を見るのが恐いよりも、熱ッぽい、物に憑かれたような夫の眼の方が恐いのであった。その眼と彼の口辺にたゞようニタニタ笑いとが、全く調和を缺いているように感ぜられたのであった。が、そう云われると、さすがに彼女は屹となった。

「いゝえ、いゝえ、そんな弱蟲ではございません、首なんか恐くはありませんわ」

「きっと恐くはないのだな」

「勿論でございます」

「では、見る勇気があるのだな」

「見られるなら見せていたゞきます」

「見られるとも」

そう云って彼は、腰元共を顧みた。

「さ、お前たちも勇気を出せ。今首を持って来て教えてやるから、やり方を練習して見ろ。そのくらいなことは覚えて置かないと、いざと云う時の役に立たん」

彼の血色が再び青くなったのを見て、腰元共はウロウロするばかりであったが、

「道阿弥を呼べ」

と、云いながら彼は、膝の前にあった盃を一と息に乾した。

或る夜御前へ出仕致候処、奥方も御同列にて御入ありしが、瑞雲院様愚老を側近くお呼び被成、不便なれ共某今宵汝が首を所望致すぞと仰せられ、既にお手討にも可被成御様子也、されど全く身に覚えなき事