Japanische Klassiker mit Furigana
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ぶこうざんにのぼる
武甲山に登る
河井 酔茗
Lesen Sie 武甲山に登る (ぶこうざんにのぼる) von 河井 酔茗 (かわいすいめい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 3.273 Zeichen · 7 Bildschirme
後殿になっていたM氏は、其辺で太さ湯呑大の蛇が途に横っていたのを火光に透かして見たそうだ。何うしても動かぬので跨いで来たそうだが、吾等二人は其事を後で聞いた、暗中石坂途を命懸で降る時には、蛇が居ようが蟇が居ようが、何が居ようとそんな事どころではなかった。
程なく草の深い所を抜けて、例の七曲りの上の方へ出た、今までは草に隠れて居たが、山麓の秩父の街の火の明り、村々の貧しい灯火が、手の達くような下に見えた。併し此七曲の上までは、登る時に二時間以上もかかっている、仮令途は之から能く分っても、蝋燭が途中で無くなったら何うしようと、私はそれが心配でならない。するとT氏は何うしたか途を失ったという、さア分からない、迷う許りで一向途が見えぬ、疲れ切ったM氏は此処で露宿しようと言い出して、横になったまま動かない。私は例え夜があけても関わぬ一歩でも下の方へ降りたいと言う、とは言え、七曲りの尽きた下は又大樹林で、見た所でも闇の帷に閉じられた森を、何うして路のわからないのに抜けられよう、之もむだかも知れぬと殆ど途方にくれて、歩く気も出ない、此場合生命から二番目の蝋燭は吹き消して置く。