Japanische Klassiker mit Furigana
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わすれえぬひとびと
武蔵野
国木田 独歩
Lesen Sie 武蔵野 (わすれえぬひとびと) von 国木田 独歩 (くにきだどっぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 94.018 Zeichen · 192 Bildschirme
かの字港に着くと、船頭がもう用意をして待っていた。寂しい小さな港の小さな波止場の内から船を出すとすぐ帆を張った、風の具合がいいので船は少し左舷に傾ぎながら心持ちよく馳った。
冬の寒い夜の暗い晩で、大空の星の数も読まるるばかりに鮮やかに、舳で水を切ってゆく先は波暗く島黒く、僕はこの晩のことを忘れることができない。
船のなかでは酒が初まった。そして談話は同じく猟の事で、自分はおもしろいと思って聞いていたがいつしか寝てしまった。それは穏やかな罪のない眠りで、夢とも現ともなく、舷側をたたく水の音の、その柔らかな私語くようなおりおりはコロコロコロと笑うようなのをすぐ耳の下の板一枚を隔てて聞くその心地よさ。時々目を開けて見ると薄暗い舷燈のおぼろげな光の下に円座を組んで叔父さんたちは愉快にやってござる。また中には酔ってしゃべりくたぶれて舷側にもたれながらうつらうつらと眠っている者もある。相変わらず元気のいいのが今井の叔父さんで、『君の鉄砲なら一つで外れたらすぐ後の一つで打つことができるが僕のはそう行かないから困る、なアに、中るやつなら一発で中るからなア』と言って『あははははは』