Japanische Klassiker mit Furigana
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わすれえぬひとびと
武蔵野
国木田 独歩
Lesen Sie 武蔵野 (わすれえぬひとびと) von 国木田 独歩 (くにきだどっぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 94.018 Zeichen · 192 Bildschirme
『あハハハハハハ』かれも笑った。
不平と猜忌と高慢とですごく光った目が、高慢は半ばくじけ不平は酒にのまれ、不平なき猜忌は『野卑』に染まり、今や怪しく濁って、多少血走っていて、どこともなく零落の影が容貌の上に漂うている。
自分はなぜ東京に上ったか、またいつ来たか、今どうして暮らしているか、これらのところを尋ねて見ようとしてよした。問わないでもわかる。そして自分は思った、その秘密はかれ自身よりもかえって自分の方がよく知っているだろうと。
かれは酒を飲むにつれて、しきりに例の大言を昔のままに吐いたが、これはその実、昔のかれに自分で自分が申し訳をして、いささか快しとしているばかりである。むしろ時々小声で、『しかしおれももうだめだよ、』とわれ知らずもらす言葉が真実であった。
自分はかれの運命を思って何とも言えずあわれになって来た。もうかれとても自家の運命の末がそろそろ恐くなって来たに違いない。およそ自分の運命の末を恐がるその恐れほど惨痛のものがあろうか。しかもかれには言うに言われぬ無念がまだ折り折り古い打傷のようにかれの髄を悩ますかと思うとたまらなくなってくる。