Japanische Klassiker mit Furigana
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わすれえぬひとびと
武蔵野
国木田 独歩
Lesen Sie 武蔵野 (わすれえぬひとびと) von 国木田 独歩 (くにきだどっぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 94.018 Zeichen · 192 Bildschirme
何のことぞとお絹も少しは怪しく思いたれど、さりとて別に気にもとめざりしようなり。
その次の夜も次の夜も吉次の姿見えず、三日目の夜の十時過ぎて、いつもならば九時前には吉次の出て来るはずなるを、どうした事やらきのうも今日も油さえ売りにあるかぬは、ことによると風邪でも引いたか、明日は一つ様子を見に行ってやろうとうわさをすれば影もありありと白昼のような月の光を浴びてそこに現われ、
『皆さん今晩は』といつになきまじめなる挨拶、黙って来て黙って腰をかけあくびの一つもするがこの男の柄なるを、さりとは変なと気づきし者もあり気づかない者もあり、その内にもお絹はすこぶる平気にて、
『吉さんどうかしたの。』
『少し風邪を引いて二日ばかり休みました』と自ら欺き人をごまかすことのできざる性分のくせに嘘をつけば、人々疑わず、それはそれはしかしもうさっぱりしたかねとみんなよりいたわられてかえってまごつき、
『ありがとう、もうさっぱりとしました。』
『それは結構だ。時に吉さん女房を持つ気はないかね』と、突然におかしな事を言い出されて吉次はあきれ、茶店の主人幸衛門の顔をのぞくようにして見るに戯談とも思われぬところあり。