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Japanische Klassiker mit Furigana

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わすれえぬひとびと

武蔵野

国木田 独歩

Lesen Sie 武蔵野 (わすれえぬひとびと) von 国木田 独歩 (くにきだどっぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 94.018 Zeichen · 192 Bildschirme

Aozora Bunko

ただ静かに貴嬢を顧みたまいて貴嬢の顔色の変われるに心づき、いかにしたまいし心地悪しくやおわすると甘ゆるように問いたまいたる、その時もしわが顔にあざけりの色の浮かびたりせば恕したまえ、二郎が耳にはこの声いかに響きつらん、ただかれがその掌を静かに膝の上に置きて貴嬢が伴の方をきっと見たる、その時のかれが眼より怪しき光の閃きしを貴嬢はよくも得見たまわざりしと覚ゆ。

貴嬢がわずかに頭をあげて、いなとかの君の問いに答えたまいたる、その声は墓のかなたより亡者や吹き込みし。

よき物まいらせんとてかの君手さげの内を探りたまいしが、こはいかに宝丹を入れ置きぬと覚えしにと当惑のさまを、貴嬢は見たまいて、いなさまでに候わずとしいて取り繕わんとなしたもうがおかしく、その時もしわが顔に卑下の色の動きたりせば恕したまえ。

われ二郎に向かいて、御身は宝丹持ちたもうならずやと問えば、二郎、打ち惑いたるさまにてわずかに、しかりと答う。かの君の肝太きことよ、直ちに二郎に向かって、少し賜わずやと求めたもう。貴嬢がこの時の狼狽のさまこそおかしけれ、君よさまでには候わず宝丹には及ばずと訴うるようにのたまいし声はしわがれて呼吸するも苦しげにおわしぬ。