Japanische Klassiker mit Furigana
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わすれえぬひとびと
武蔵野
国木田 独歩
Lesen Sie 武蔵野 (わすれえぬひとびと) von 国木田 独歩 (くにきだどっぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 94.018 Zeichen · 192 Bildschirme
』
『三度め!』先生は二度めとばかり思ッていたのである。
『もっとも幸ちゃんの母親は亡くなッたんですけれども。』
この時、のそり挨拶なしに土間に現われたのが二十四、五の、小づくりな色の浅ぐろい、目元の優しい男。
『オヤ幸ちゃんが! 今お前さんのうわさをしていたのよ。』実はお神さん少し驚いてまごついたのである。
『先生今日は。』
『この二、三日見えないようであったね。』
『相変わらず忙しいもんですから。』
『マアお上がんなさいな、今日はどちらへ。』お神さんは幸吉の衣装に目をつけて言った。
『神田の叔父の処へちょっと行って来ました、先生今晩お宅でしょうか。』幸吉の言葉は何となく沈んでいる。
『在宅るとも、何か用だろうか。』
『ナニ別に、ただ少しばかし……』
『今夜宅で浪花節をやらすはずだから幸ちゃんもおいでなさいな、そらいつかの梅竜』お神さんは卒然言葉をはさんだ。
『そうですか、来ましょう、それじゃあまた晩に』と言って幸吉は帰ってしまった。
『幸ちゃん今日はどうかしているよ』とお神さんは言ったが、先生別に返事をしないで立て膝をしながらお神さんの手元をながめていた。お神さんは時田のシャツの破綻を繕っている。