Japanische Klassiker mit Furigana
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わすれえぬひとびと
武蔵野
国木田 独歩
Lesen Sie 武蔵野 (わすれえぬひとびと) von 国木田 独歩 (くにきだどっぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 94.018 Zeichen · 192 Bildschirme
『なんだッたかしら。』
『そら手本サ。』
『すっかり忘れていた、失敬失敬、それよりか君に見せたい物があるのだ、』と風呂敷に包んでその下をまた新聞紙で包んである、画板を取り出して、時田に渡した。時田は黙って見ていたが、
『どこか見たような所だね、うまくできている。』
『そら、あの森のところサ御料地の、あそこから向こうの畑と林とを見たところサ。』
『なるほどそうだ、』といいながら時田は壁に下げてある小さな水彩画と見比べている。
『無論この方がまずいサ。ところがこの絵にはおもしろい話があるからそれで持って来たがこれからまたこれを持って行くところがあるのだ。』
時田は起ち上がって火鉢のそばへ来て、『ふうン』とはなはだ気のない返事をして聞いている、これはこの人の癖だから対手はなんとも感じない。
『昨日はあのいい天気だからいつものように出かけて例の森、僕はまだあそこは画いたことがないからどうせろくなものはできまいが、一ツ試みて見ようと、いつもの細い径を例のごとく空想にふけりながら歩いた。実は――もう白状してもいいから言うが――実は僕近ごろ自分で自分を疑い初めて、果たしておれに美術家たるの天才があるのだろうか、果たしておれは一個の画家として成功するだろうかなんてしきりと自脈を取っていたのサ。