Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しのこうかい

死の航海

国枝 史郎

Lesen Sie 死の航海 (しのこうかい) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 8.634 Zeichen · 18 Bildschirme

Aozora Bunko

「矢張今も水夫でごわす。どこかの船に欠員でもあって油差が一人ご入用とあれば、早速私は参ります」

「それじゃお前は油差か。とんだ油差もあったもんだ。ヨイヨイの油差とは驚いたな。が、まあそれはいいとして、厄介になりてえっていうからにゃ宿賃は持っているだろうな」

「ハイその宿賃でございますがね……」

「その宿賃がどうしたんだい?」

「その宿賃があるくらいなら、二日も三日も飲まず食わずでは歩き廻っては居りません……宿賃は持っては居りませんけれど、その代り私は働きます。料理の真似くらいは出来ますしね。廊下の掃除なんかお手の物で、電灯の珠だって磨きますよ……」

「便所の洗い流しもするってんだろう。が併しそいつぁお断わりだ。そういう仕事をさせるための下女や下男は頼んである」

「そりゃまあそうでございましょうけれど、そこをあなたのご同情で……」

「人に同情しているうちに自分の屋台骨に穴が開いて雨にでも降られちゃ耐らねえ。まずまず同情はおあずけとしよう」

「まあまあそんな事おっしゃらずに……こんな老耄した私一人をたとえお助けなすったってこの確りした屋台骨へなんの穴なんか開きますものか……」