Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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さつじんき

殺神記

田中 貢太郎

Lesen Sie 殺神記 (さつじんき) von 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 3.120 Zeichen · 7 Bildschirme

Aozora Bunko

彼は早くその家に往き着こうと思って馬を急がした。

支那の里程で三里ばかり往ったところで、目的にして往った明りがすぐ眼の前にきた。そして、人声は聞えないが何か酒宴でもしているように、室の中から華やかな燈火の光が漏れていた。

元振は馬からおりて、それを門口の立木に繋いで門を入った。家の中はしんとして何の音も聞えなかった。元振は入口の戸を静に叩いた。応もなければ人の出てくる跫音も聞えない。で、今度は初めよりも強く力を入れて叩いた。それでも中へ聞えないのか応がなかった。

「もし、もし、お願いいたします」

元振は声をかけてまた戸を叩いたが、依然として応がないので、彼は中へ入って声をかけるつもりで戸に手をかけてみた。戸はがたがたと軋りながら開いた。元振は中へ入った。明るい燈火がその室にも点いていたがやはり人はいなかった。

「もし、もし、すこしお願いいたしたいのですが」

元振は大声をした。それでも応もなければ人の出てきそうな気配もない。元振は首を傾げて考えたが意味が判らなかった。

「何人もいらっしゃらないのですか」

元振はまた言って暫く立っていたが、依然として応がなかった。