Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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すいちゅうのきゅうでん

水中の宮殿

野村 胡堂

Lesen Sie 水中の宮殿 (すいちゅうのきゅうでん) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 26.533 Zeichen · 52 Bildschirme

Aozora Bunko

父博士の遺した――大事業を継続して

「危い危い、飛降りちゃいけないッ」

車掌の止めるのもきかずに、動き出した車からプラットホームに飛び降りました。

尻餅を一つ突いて、転げ出した帽子を拾って改札口の方へ行くと、ツイ今しがた降りたばかりの、綾子、燿子、健一の一行は、影も形も見えません。

「おや」

ひどく面喰った青年は、念の為に振り返ると――なんと、今しがた滑り出した列車の、自分達の乗っていた次の三等室の窓から、三つの首が重なり合って此方を見ているのです。

「左様なら」

大茶目の燿子は、鼻の先で指を振りました。「悲しみの塑像」の綾子も、この時ばかりはたまらなくなって噴出しました。正直者の健一だけは、まだ、二等車から引摺るように降されて、すぐ隣の三等車に乗せられた理由が呑込めないらしく、いとも不思議そうにこのプラットホームの小喜劇を見ているのでした。

「あんな事をしてもいいのかしら燿子さん、少し可哀相ね」と綾子。

「だって降りるのは向うの勝手じゃないの、私はおかしくって、おかしくって――」

燿子はただもう笑い転げております。

父博士の遺した――大事業を継続して

「あ、お嬢様」

「花井さん、電報を御覧になって?」