Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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すいちゅうのきゅうでん

水中の宮殿

野村 胡堂

Lesen Sie 水中の宮殿 (すいちゅうのきゅうでん) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 26.533 Zeichen · 52 Bildschirme

Aozora Bunko

花井が刺された――健一のかわりに

「丁度よかったわねえ」

綾子も父博士の仕事の継続が出来て本当に嬉しそうです。

花井が刺された――健一のかわりに

急に人夫は集められ、堤防は新たに築き足されて、平泉館の発掘事業が続けられました。

大勢の人夫を指揮するのは、書生の花井一郎、炊事万端の世話はお高さん。

健一は位ばかりの総監督で、間がな隙がな、北上川の淵へ飛込んでは泳いだり、早瀬をあさって鮎や鰻や鮠を取っているのですから、これは全く当になりません。

青葉山と碧玉を湛えたような水の間を、世にも可愛らしい二人の少女、綾子と燿子が飛廻るのが、どんなに人夫達の眼や心を慰めたことでしょう。どちらも白やピンクの軽やかな洋装で、一人は蝶々のように軽快に、一人は姫百合のように静かに、むずかしい発掘事業を見て廻っているのでした。

「あの仙台で撒いたハイカラさんが来ているのよ、三日も前から――」

或日、燿子はそっと綾子に囁きました。

「まあ」

燿子はたまらなさそうに笑い出しますが、心配性な綾子は、なんとなく不吉な予感にぞっとしております。

その晩、花井一郎は少し気分を悪くして、青い顔をしております。多分一日陽に照らされて、人夫に号令をかけていたからでしょう。