Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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みとばいふ

水戸梅譜

山本 周五郎

Lesen Sie 水戸梅譜 (みとばいふ) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.607 Zeichen · 25 Bildschirme

Aozora Bunko

四

名も父のを継いで五百旗五郎兵衛という、「母上ただいま戻りました」そう云いながら、かれが土間へはいろうとすると、中から出て来たひとりの若い娘が、大きく眼をみはりながらあっと叫んだ。

四

「ああお梶どのか」北どなりに住んでいる農夫熊七の娘だった。さして美しくはないが、すんなりと伸びた柔らかそうなからだつきで、十八とは思えぬほどうぶうぶしい顔だちである。五郎兵衛に呼びかけられると、お梶はさっと頬のあたりを蒼くした。その怯えたような表情をみて、かれはなにか変事のあったことを直覚した。「どうしたのだお梶どの、なにかあったのか」

「おばさまが」娘はふるえながら云った、「おばさまが、河田のお代官所へ、お曳かれなすって……」

「代官所へ、母が」五郎兵衛はぎょっとした、しかしすぐに自分を抑えた。母もかれも正しく生きて来た、かえりみて疾しいところは少しもない、それがかれを落着かせた。「洗足をして来ます、それから精しい話をうかがいましょう、あがって待っていて下さい」

五郎兵衛は裏へいって足を洗い、身を清めてから家へはいった、着替えを済ますと仏壇に燈明をあげた。お梶は行燈に火をいれて待っていた。