Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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すいごういぶん

水郷異聞

田中 貢太郎

Lesen Sie 水郷異聞 (すいごういぶん) von 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 17.516 Zeichen · 36 Bildschirme

Aozora Bunko

女は別に怖れたような顔もせずにこっちを見ながら歩いて来た。

(失礼ですが、山根先生ではございませんか)

女は頭をさげた。

(そうです、私は山根ですが、あなたは)

(私は何時も先生のお書きになるものを拝見している者でございますが、今日はちょうど、先生のお泊りになっていらっしゃる宿へ泊りまして、宿の者から先生のことを伺いましたものですから)

(そうですか、それじゃ何かの御縁がありますね、あなたは、何方ですか、お宅は)

こう云いながら彼は女の顔から体の恰好に注意した。すこし受け唇になった整った顔で、細かな髪の毛の多い頭を心持ち左にかしげていた。

(東京の方に父と二人でおりますが、この前の△△△に伯母がおりますので、十日ほど前、そこへ参りまして、今日帰りに夕方船でここへまいりましたが、夜遅く東京へ帰ってもめんどうですから、朝ゆっくり汽車に乗ろうと思いまして)

(そうですか、私も今日二人の仲間といっしょにやって来ましたが、昼間は講演なんかで、このあたりを見ることができなかったものですから、見たいと思って朝にしたところです)

(それじゃ、また面白い詩がお出来になりますね)