Japanische Klassiker mit Furigana
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かごつるべ
江戸情話集
岡本 綺堂
Lesen Sie 江戸情話集 (かごつるべ) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 203.779 Zeichen · 407 Bildschirme
「いくらお大尽さまでも、ちっと道楽が過ぎましょう」と、佐野屋の主人は二年越しの遊蕩に少しく顔をしかめていた。治六は喧嘩づらで急き立てて、ことしも盆前にひとまず国に帰ることになった。帰る時に次郎左衛門は宿の亭主に言った。
「ことしの内にまた来るかも知れません」
「お急ぎの御用があれば格別、今年はまあ在所に御辛抱なすって、また来春お出でなさいまし」と、亭主は言った。
次郎左衛門は唯にやにや笑いながら草鞋の紐を結んで出た。それが果たして今年の内に出直して来た。しかも佐野屋の家は潰れてしまったというのであった。亭主も夢のように思われてならなかった。
「なにしろ、もう七、八年前から身代も痛み切っていたところへ、去年も吉原で二千両ほども遣う。ことしもそれに輪をかけて三千両ほども撒き散らす。それじゃあとても堪らねえ」と、治六は投げ出すように言った。「去年江戸から帰ってすっかり堅気になって辛抱しなさるようだったから、まあいい塩梅だとわしらも喜んでいたんだが、なあに、やっぱり駄目なことさ。おまけに今年の秋は八朔と二百十日と二度つづいた大暴れで田も畑もめちゃめちゃ。こうなったら何も悪いことだらけで……。