Japanische Klassiker mit Furigana
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さばくのこと
沙漠の古都
国枝 史郎
Lesen Sie 沙漠の古都 (さばくのこと) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 110.076 Zeichen · 220 Bildschirme
こっちへ来いというように丈なす草が苅り取られ小径が出来ているではないか!
「足跡の主に相違ない」
私はすぐにこう思った。それで少しも躊躇せずに小径を奥へ歩いて行った。私は幾時間歩いたろう? 体が綿のように疲労れて来た。私は一歩も進めなくなった。ここでこのまま倒れたなら猛獣毒蛇の恐ろしい牙がすぐにも噛みつくと思いながらどうすることも出来なかった。歯朶の葉の茂っている地面の上へ私はパッタリ腰を下ろした。すぐに睡眠が襲って来る。私は眠りに落ちたらしい。眠りながら私は手の触覚を体の全体に感じていた。嫋かではあるが粗い掌の絶え間ない触覚を感じていた。
どれだけ眠ったか私には一向見当がつかなかった。眼を開いて見ると朝だと見えて厚く重なった葉の天蓋から二筋三筋日光の縞が黄金線のように射していた。林の中の諸※(二の字点、1-2-22)の葉は朝風に揺れてさも嬉しそうに上下に舞踏を踊っている。そして私の枕もとには新鮮な果実が置かれてある。私は朝飯をそれで済ますと体に勇気が充ちて来た。やおら私は立ち上がって森林の旅を続けようとした。その時何気なく四辺を見ると私のすぐ側の雑草の中に巨大な一匹のボルネオ虎が毒矢に貫かれて死んでいる。