Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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なきむしこぞう

泣虫小僧

林 芙美子

Lesen Sie 泣虫小僧 (なきむしこぞう) von 林 芙美子 (はやしふみこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 34.906 Zeichen · 70 Bildschirme

Aozora Bunko

急わしく上って来そうな寛子の声だ。勘三は、矢庭にハンドバッグを懐へしまった。何時も原稿の束をしまいつけているので、ふくれた懐も目立たない。

「へえ! 昨夜はどこへ泊ったンだ? 新聞社のところから急にいなくなったじゃないかッ」

勘三は目玉をパチパチさせて階下へ降りて来るなり、啓吉に合図をする。で、啓吉は、叔父と別れてからの話をしなければならない。

「へえ、随分親切な人もあるもンね。尺八を吹く人なのかい?」

「…………」

「他人様だってそンな親切なお方があるンだのに、手前エはどうだ。血のつながった甥じゃアないかよ。ええ? それをさア、姉きへ意地を張って、方々へ預けようとするから、こんな間違いがおきるンだ」

「そンなことはどうでもいいわ……何も、啓坊がいなくなったからって、酒を呑んでへべれけになって帰る事はないでしょう……あとで、どうなのか、啓ちゃんに聞いてみますよ、怪しいもンだからねえ」

「余計なことを訊かなくてもいいよ。子供は天真なのだからね……」

「へへッだ! ――だって、啓ちゃんは動物園へ連れてってやっても、猿同士がおんぶしあってる事ちゃんと識ってて、顔を赧めるンですもの、もう天真じゃないわよ」