Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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うきぐも

浮雲

二葉亭 四迷

Lesen Sie 浮雲 (うきぐも) von 二葉亭 四迷 (ふたばていしめい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 112.980 Zeichen · 222 Bildschirme

Aozora Bunko

文三も暫らくは鼻をも潰していたれ、竟には余りのけぶさに堪え兼て噎返る胸を押鎮めかねた事も有ッたが、イヤイヤこれも自分が不甲斐ないからだと、思い返してジット辛抱。そういうところゆえ、その後或人の周旋で某省の准判任御用係となッた時は天へも昇る心地がされて、ホッと一息吐きは吐いたが、始て出勤した時は異な感じがした。まず取調物を受取って我坐になおり、さて落着て居廻りを視回すと、仔細らしく頸を傾けて書物をするもの、蚤取眼になって校合をするもの、筆を啣えて忙し気に帳簿を繰るものと種々さまざま有る中に、ちょうど文三の真向うに八字の浪を額に寄せ、忙しく眼をしばたたきながら間断もなく算盤を弾いていた年配五十前後の老人が、不図手を止めて珠へ指ざしをしながら、「エー六五七十の二……でもなしとエー六五」ト天下の安危この一挙に在りと言ッた様な、さも心配そうな顔を振揚げて、その癖口をアンゴリ開いて、眼鏡越しにジット文三の顔を見守め、「ウー八十の二か」ト一越調子高な声を振立ててまた一心不乱に弾き出す。余りの可笑しさに堪えかねて、文三は覚えずも微笑したが、考えて見れば笑う我と笑われる人と余り懸隔のない身の上。