Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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うきぐも

浮雲

二葉亭 四迷

Lesen Sie 浮雲 (うきぐも) von 二葉亭 四迷 (ふたばていしめい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 112.980 Zeichen · 222 Bildschirme

Aozora Bunko

文三は酒に酔った心地、どう仕ようという方角もなく、只茫然として殆ど無想の境に彷徨ッているうちに、ふと心附いた、は今日お政が留守の事。またと無い上首尾。思い切って物を言ってみようか……と思い掛けてまたそれと思い定めぬうちに、下女部屋の紙障がさらりと開く、その音を聞くと文三は我にも無く突と奥座敷へ入ッてしまった――我にも無く、殆ど見られては不可とも思わずして。奥座敷へ入ッて聞いていると、やがてお鍋がお勢の側まで来て、ちょいと立留ッた光景で「お待遠うさま」という声が聞えた。お勢は返答をせず、只何か口疾に囁いた様子で、忍音に笑う声が漏れて聞えると、お鍋の調子外の声で「ほんとに内海……」「しッ!……まだ其所に」と小声ながら聞取れるほどに「居るんだよ」。お鍋も小声になりて「ほんとう?」「ほんとうだよ」

こう成て見ると、もう潜ているも何となく極が悪くなって来たから、文三が素知らぬ顔をしてふッと奥座敷を出る、その顔をお鍋は不思議そうに眺めながら、小腰を屈めて「ちょいとお湯へ」と云ッてから、ふと何か思い出して、肝を潰した顔をして周章て、「それから、あの、若し御新造さまがお帰なすって御膳を召上ると仰ッたら、お膳立をしてあの戸棚へ入れときましたから、どうぞ……お嬢さま、もう直宜うござんすか? それじゃア行ってまいります」