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Japanische Klassiker mit Furigana

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うみにいくるひとびと

海に生くる人々

葉山 嘉樹

Lesen Sie 海に生くる人々 (うみにいくるひとびと) von 葉山 嘉樹 (はやまよしき) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 161.305 Zeichen · 321 Bildschirme

Aozora Bunko

それは、全く、何も持っていない、一人の労働者だ。地位も、金も、系累も、家も、それこそ何にもない、便所掃除の労働者の青二才じゃないか、だのに船長は椅子から立ち上がれなかった。

彼は一度立ち上がって、途中で、グズグズとすわったことを悔いた。その、彼の前に立っている労働者が彼からその「煮える」ような眼光を放さなければ、彼は立てなかったのだ。

それは、彼の職業的な、因襲的な、尊厳を傷つけるものであった。そして、一度負けたが最後頭の上がらない鶏のように、その後は、彼を永久に圧えつける一種の不快な、重しになるであろう。それは脅迫観念にとらわれた病者が、何もないところに、恐るべき幻影を見て、狂い続けるのと同様であろう。それは見かけ倒しの立派な、芝居の建て付けに、全身の信頼をもってもたれかかって、一緒に倒れるのと同じ人々の運命であらねばならぬ。彼は、芝居の建具によっかかっていたのだ!

「貴様は、大きな錯覚に陥っていることを、自分で知らないんだ! 貴様だって、被搾取材料だ! でなきゃ幇間だ! 自分自身が何だってことを、内部からハッキリ見詰めろ! もしボーイ長を、この要求どおり、この要求は、あまり遠慮がしすぎてあるんだぞ、いいか、もし、これを許さなかったら、おれには覚悟があるんだ。