Japanische Klassiker mit Furigana
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しんやのしちょう
深夜の市長
海野 十三
Lesen Sie 深夜の市長 (しんやのしちょう) von 海野 十三 (うんのじゅうざ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 109.982 Zeichen · 220 Bildschirme
黄金の鍵を探しに来たのであった。何を盆槍しているのだろう。見ると、床の間の上下の戸棚といわず、手文庫の中といわず、書棚といわず、手あたり次第引っ掻きまわされてあったが、これは速水のやったものに違いなかった。欄間を飾る伊藤博文公の額もブランと宙に下っているし、床の間からは掛軸が外され、青銅製の釣鐘の置き物まで、裏返しになっていた。――速水は僕の腕を握ると、力のない声で云った。
「この上、どこを探したらいいだろう。……それとも『深夜の市長』の考え違いで、動坂三郎は黄金の鍵を持っていないのではなかろうか」
科学器械に造詣の深い速水輪太郎も、黄金の鍵の捜査にはすっかり手を焼いたと見えて、先刻とはまるで別人のように悄気ていた。
T市の鍵! いま高屋市長と「深夜の市長」と黒河内警視総監とが、血眼になって探し求めている黄金の鍵は、一体何処に潜んでいるのだろうか。
「……大事なものだから、身近に置いているに違いない」と、「深夜の市長」の云ったこの言葉は、僕も共に同感するところだ。ことに明日は、市会の壇場に於て、動坂三郎は、このT市の黄金の鍵を中心にして、高屋市長の弾劾案を上程するつもりであり、かの待合で放言したところから想像すると場合によっては鍵を必要とするかも知れないと思っているらしいので、それがためには鍵の在所はいよいよ