Japanische Klassiker mit Furigana
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しんやのしちょう
深夜の市長
海野 十三
Lesen Sie 深夜の市長 (しんやのしちょう) von 海野 十三 (うんのじゅうざ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 109.982 Zeichen · 220 Bildschirme
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「勤め先というと……?」
「兄は動坂三郎という市会議員のところで働いているのです。ずいぶん古くから、動坂さんのために粉骨砕身して仕えています。……」
「ナニ動坂三郎?」
「アラ、動坂さんを御存知なんですの」
「知っているというほどではありませんがネ……」
といったが、このとき僕はいまT市会に断然勢力を有する議長候補の動坂三郎の名が、図らずも、怪しいホテルに同室する闇の女の口から出たので驚いた。そして今宵「深夜の市長」の土窟の近くで見た達磨のようにでっぷり肥ったその立派な風采を思い出した。
11
マスミに固い約束をして、僕等は苺園ホテルを出た。時刻はいつしか十時を廻っていた。
「じゃ、貴女のお家まで送ってゆきましょう。いまどこに宿を持っているんですか」
「あら、送って下さるの」マスミは莞爾笑いながら「でも遠いのよ。ずっと下町の方ですわ」
「下町ですって。下町、結構です。僕も下町の方へ帰るんですから……」
「浅草なんですのよ。あたし恥かしいけれど」
「なアに、浅草はいいところです。僕も浅草に住んでいるのですからネ」
「まあ、不思議ですことネ。これも何かの御縁と思いますわ」