Japanische Klassiker mit Furigana
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しんやのしちょう
深夜の市長
海野 十三
Lesen Sie 深夜の市長 (しんやのしちょう) von 海野 十三 (うんのじゅうざ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 109.982 Zeichen · 220 Bildschirme
某氏は受取った品物を見てT市の鍵なるを知り、愕いて吾輩のところへ相談に来た。これはT市の名誉のために由々敷いことであると思い、吾輩は即座に数万金を積んで、その黄金の鍵を買い受けた。かくしてT市の鍵は一と先ず安全に戻ったけれど、市長一派は毫も反省の色なく、剰さえT市の鍵が吾輩のところにあるのを知ると、仮面の悪人どもを語らいあらゆる悪辣なる手段を弄してその奪還を図ったのだ。市長とグルになった黒河内警視総監は、吾輩を待合に呼んで脅喝し、吾輩が鍵を渡すのを拒むと、権力をもって奪還すると豪語した。昨夜闖入した暴漢は、実に黒河内の使嗾による者で、主立つ者は二人――一人はT市の壁蝨というべき、有名なる無頼漢『深夜の市長』と、もう一人は愕くなかれ現職の司法官浅間新十郎という悪役人だッ」
僕はここまで聞くと、口惜しさのために歯ぎしりした。なんたる捏造だ。なんたる侮辱だ。だが何故、自分の交っていたのを知っているのか。
「……これが見えるか、諸君! この手帳こそは、昨夜司法官浅間新十郎が遺留していったものだ。彼は市長と警視総監と検事局と、それから無頼漢『深夜の市長』とを結ぶ連絡係に外ならない! どうだこの官憲の堕落と暴状とは……」