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Japanische Klassiker mit Furigana

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うずまけるからすのむれ

渦巻ける烏の群

黒島 伝治

Lesen Sie 渦巻ける烏の群 (うずまけるからすのむれ) von 黒島 伝治 (くろしまでんじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 17.240 Zeichen · 35 Bildschirme

Aozora Bunko

五

「いや、うそだうそだ。今さっきほかの者が来てすっかり持って行っちゃったんだ。」

松木はうしろから叫んだ。

「いいえ、いらないわ。」

彼女の細長い二本の脚は、強いばねのように勢いよくはねながら、丘を登った。

「ガーリヤ! 待て! 待て!」

彼は乾麺麭を一袋握って、あとから追っかけた。

炊事場の入口へ同年兵が出てきて、それを見て笑っていた。

松木は息を切らし切らし女に追いつくと、空の洗面器の中へ乾麺麭の袋を放り込んだ。

「さあ、これをやるよ。」

ガーリヤは立止まって彼を見た。そして真白い歯を露わして、何か云った。彼は、何ということか意味が汲みとれなかった。しかし女が、自分に好感をよせていることだけは、円みのあるおだやかな調子ですぐ分った。彼は追っかけて来ていいことをしたと思った。

帰りかけて、うしろへ振り向くと、ガーリヤは、雪の道を辷りながら、丘を登っていた。

「おい、いいかげんにしろ。」炊事場の入口から、武石が叫んだ。「あんまりじゃれつきよると競争に行くぞ!」

五

吉永の中隊は、大隊から分れて、イイシへ守備に行くことになった。

HとSとの間に、かなり広汎な区域に亘って、森林地帯があった。