Japanische Klassiker mit Furigana
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うずまけるからすのむれ
渦巻ける烏の群
黒島 伝治
Lesen Sie 渦巻ける烏の群 (うずまけるからすのむれ) von 黒島 伝治 (くろしまでんじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 17.240 Zeichen · 35 Bildschirme
七
そして、自から、ほほ笑ましくなった。――吉永は、危険なイイシ守備に行ってしまうのだ。
丘の上のそこかしこの灯が、カーテンにさえぎられ、ぼつぼつ消えて行った。
「お休み。」
一番手近の、グドコーフの家から、三四人同年兵が出て行った。歩きながら交す、その話声が、丘の下までひびいて来た。兵営へ帰っているのだ。
不意に頭の上で、響きのいい朗らかなガーリヤの声がした。二人は、急に、それでよみがえったような気がした。
「ばあ!」彼女は、硝子戸の中から、二人に笑って見せた。「いらっしゃい、どうぞ。」
玄関から這入ると、松木は、食堂や、寝室や、それから、も一つの仕事部屋をのぞきこんだ。
「誰れが来ていたんです?」
「少佐。」
「何?」二人とも言葉を知らなかった。
「マイヨールです。」
「何だろう。マイヨールって。」松木と武石とは顔を見合わした。「振い寄ると解釈すりゃ、ダンスでもする奴かな。」
七
少佐は、松木にとって、笑ってすませる競争者ではなかった。
二人が玄関から這入って行った、丁度その時、少佐は勝手口から出て来た。彼は不機嫌に怒って、ぷりぷりしていた。十八貫もある、でっぷり肥った、髯のある男だ。