Japanische Klassiker mit Furigana
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うずまけるからすのむれ
渦巻ける烏の群
黒島 伝治
Lesen Sie 渦巻ける烏の群 (うずまけるからすのむれ) von 黒島 伝治 (くろしまでんじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 17.240 Zeichen · 35 Bildschirme
彼の靴は、固い雪を蹴散らした。いっぱいに拡がった鼻の孔は、凍った空気をかみ殺すように吸いこみ、それから、その代りに、もうもうと蒸気を吐き出した。
彼は、屈辱(!)と憤怒に背が焦げそうだった。それを、やっと我慢して押しこらえていた。そして、本部の方へ大股に歩いて行った。……途中で、ふと、彼は、踵をかえした。
つい、今さっきまで、松木と武石とが立っていた窓の下へ少佐は歩みよった。彼は、がん丈で、せいが高かった。つまさきで立ち上らずに、カーテンの隙間から部屋の中が見えた。
そこには、二人の一等卒が、正宗の四合壜を立てらして、テーブルに向い合っていた。ガーリヤは、少し上気したような顔をして喋っている。白い歯がちらちらした。薄荷のようにひりひりする唇が微笑している。
彼は、嫉妬と憤怒が胸に爆発した。大隊を指揮する、取っておきのどら声で怒なりつけようとした。その声は、のどの最上部にまで、ぐうぐう押し上げて来た。
が、彼は、必死の努力で、やっとそれを押しこらえた。そして、前よりも二倍位い大股に、聯隊へとんで帰った。
「女のところで酒をのむなんて、全くけしからん奴だ!」