Japanische Klassiker mit Furigana
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うずまけるからすのむれ
渦巻ける烏の群
黒島 伝治
Lesen Sie 渦巻ける烏の群 (うずまけるからすのむれ) von 黒島 伝治 (くろしまでんじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 17.240 Zeichen · 35 Bildschirme
「はい。」
松木は、若し交代さして貰えるかと、ひそかにそんなことをあてにして、暫らく中隊長の傍を並んで歩いていた。
彼は蒼くなって居た。身体中の筋肉が、ぶちのめされるように疲れている。頭がぼんやりして耳が鳴る。
だが、中隊長は、彼を休ませようとはしなかった。
「おい行くんだ。もっとよく探して見ろ!」
ふらふら歩いていた松木は、疲れた老馬が鞭のために、最後の力を搾るように、また、銃を引きずって、向うへ馳せ出した。
「おい、松木!」中隊長は呼び止めた。「道を探すだけでなしに、パルチザンがいやしないか、家があるか、鉄道が見えるか、よく気をつけてやるんだぞ。」
「はい。」
斥候は、やがて、丘を登って、それから向うの谷かげに消えてしまった。そこには武石と、道案内のスメターニンとが彼を待っていた。
松木と武石とは、朝、本隊を出発して以来つづけて斥候に出されているのであった。
中隊長は、不機嫌に、二人に怒声をあびせかけた。
「中隊がイイシ守備に行かなけりゃならんのは誰れのためだと思うんだ! お前等、二人が脱柵して女のところで遊びよったせいじゃないか!」彼は、心から怒っているような眼で二人をにらみつけた。